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天人が見守る対局室

■天人が見守る対局室

 対局が行われている成田山新勝寺の奥殿(おくでん)は、寺の貫首(かんす)の住居として建てられたもので、寺務所がある光輪閣の奥に立つ。特別な時にだけ使われる建物で、2月の節分の際には豆まきで訪れた大河ドラマの出演者らが利用するという。

 対局室となった2階の和室には、木村武山(1876~1942)の「天人散華の図」が描かれている。木村は岡倉天心に師事した日本画の巨匠。緊張感がみなぎる勝負の場に、彩りを添える。その他、室内には掛け軸や仏像などの調度品も用意された。

 前夜祭で寺の岸田照泰寺務長は「当山あげて準備に取りかかってきた。歴史に残る対戦を期待したい」と話した。(村瀬信也)

 

■おやつ 挑戦者は和、名人は和洋両方

【午後3時】両対局者におやつが運ばれた。羽生挑戦者は和菓子と緑茶。森内名人は同じ和菓子のほかに、フルーツロールケーキとレモンティー。

 和菓子も洋菓子も、地元の米屋(よねや)株式会社のもの。和菓子は、ういろう製で、黄味餡を使った上生菓子。創作者は「潔い対局の場への願いを込めて菖蒲(しょうぶ)と名付けた」という。(佐藤圭司)

現地は大賑わい

現地は大賑わい

 

【午後5時】大盤解説会の入場者は350人、5棋士指導対局を受けたファンは180人。いずれも、平日のイベントとは思えない盛況ぶり。今期名人戦の注目度の高さと、千葉県の将棋熱の高さが、よく分かる数字だ。

 

 明日は大盤解説会のみがあり、午前9時から午後0時30分と、午後1時30分から終局まで。無料だが、担当者は「この調子なら、立ち見のお客様が出そう」とうれしい悲鳴を挙げている。

 

 午後6時半の封じ手の時刻が近づいている。立会人の佐藤康光九段、副立会人の木村一基八段、佐々木慎(まこと)六段が集まり、封じ手を入れる封筒に署名をしていた。(佐藤圭司)

 

■千葉県ゆかりの5棋士指導対局

 

 現地の大盤解説会場の横は、指導対局コーナー。地元・千葉県ゆかりの5棋士が多面指しで、将棋ファンに指導対局を行っている。

 

 5棋士は、真田圭一七段(千葉県八千代市生まれ)、加瀬純一六段(千葉県八日市場市生まれ)、石井健太郎四段(千葉市出身)、三枚堂達也四段(千葉県浦安市出身)、鈴木環那女流二段(千葉県富津市出身)。

 

 鈴木女流二段は「私がプロになる前に、母が成田山新勝寺の勝御守(かちおんまもり)をもらってきてくれました」と懐かしそうに話した。

 

 勝御守は、初穂料500円。「己に勝つ 震災に勝つ」とうたい、うち100円を被災地復興支援として岩手県陸前高田市に寄託しているという。(佐藤圭司)

名人の「ホームゲーム」 将棋名人戦第4局第1日

森内名人は横浜市出身。だが、本局の開催地、千葉県成田市には森内の後援会がある。1995年、順位戦でA級昇級を目前にしていた森内を、成田市が市の行事の指導対局で招いたのがきっかけだった。

 市の諏訪峰雄経済部長(58)は「予算の都合で満足な謝礼が支払えなかったにもかかわらず、快く引き受けていただいた。指導を受けた人たちの間で『名人になるまで応援しよう』と盛り上がり、後援会を作った」と振り返る。その後も交流は続いており、同市での名人戦は森内にとって「ホームゲーム」とも言える。

 同じ成田山新勝寺で、同じ顔合わせで指された10年前の名人戦第1局では森内が勝った。しかし、今シリーズは、ここまで森内が苦しい戦いを強いられている。

 諏訪部長は「森内名人の3連敗で第4局を迎えるとは思わなかった。ただ、森内名人と羽生三冠の対戦は将棋界最高のカード。今後も長く続いていって欲しい」と話した。(村瀬信也)